オンラインカジノは違法なのか?裁判の判決は?

2018年8月25日|オンラインカジノ基礎知識

日本人がオンラインカジノで遊ぶのは違法なのか?合法なのか?

以前は様々な専門家や弁護士の方等が活発な議論を行っていたのは記憶に新しいです。

その議論は完全に賛否両論で「日本人のオンラインカジノ遊戯は違法派」と「日本人のオンラインカジノ遊戯は合法派」で真っ二つに分かれていました。

 

勿論、海外でゲーミングライセンスを取得し、正式に運営されているオンラインカジノ自体は合法サービスです。

また、日本人が海外でカジノ等の賭博を行っても罰せられる事はありません。日本人がラスベガスやマカオに旅行に行ってカジノで遊ぶのはよくある話で違法でもなんでもありませんよね。

CHECK

オンラインカジノは海外サーバーで提供される賭博です。

日本には「賭博法」という日本国内で行われる賭博を禁止する法律がありますが、当然海外で行われる賭博においては適用外です。

そこで「日本国内の端末から海外サーバーに接続して賭博を行うオンラインカジノはどうなんだ」という議論が行われていました。

当時、日本ではオンラインカジノに関する法整備が進んでおらず、判例も出ていない事からその答えは闇の中でした。

オンラインカジノは違法なのか?合法なのか?という議論が行われる背景にはこういった理由があります。

また、オンラインカジノは日本の世間での認知度も低く、「オンラインカジノ」と言われても良く分からない人は「違法でしょ」の一言で済ませてしまう物です。こういった日本人特有の「知らないものは怖いメソッド」が少なからず影響しているのかもしれません。

 

そんな時、業界を騒然とさせるある一つの事件が起こります。

2016年3月10日 オンラインカジノで遊戯した日本人3人が逮捕される

3月10日、京都府警サイバー犯罪対策課などは、海外で開設された無店舗型オンラインカジノで賭博をしたとして、大阪府などの3人を単純賭博容疑で逮捕した。

無店舗型オンラインカジノで利用客が逮捕されるのは全国初とみられる。

逮捕容疑はインターネットで接続するオンラインカジノ「スマートライブカジノ」で2月18~26日、「ブラックジャック」で賭博をしたとし、全員が容疑を認めたとのこと。

スマートライブカジノは、英国に拠点を置く登録制のオンラインカジノであり、日本語版サイトは2014年9月頃に開設された。日本語版の一日当たりの売上高は約95万円(年換算では約3.5億円)。

利用者は会員登録し、クレジット決済の代行業者、電子マネーを通じて、外貨に換金し、賭博(賭け、払い戻し)する仕組み。

京都府警は2015年10月にサイトを発見。日本語版サービスは、ディーラーが日本人で、開業時間が日本時間の夕方から深夜に設定されていたから、京都府警は、事実上、国内の日本人向けにカジノが提供されていると判断。

クレジットカードの使用履歴などから容疑者を割り出した。

出典:オンラインカジノの利用客で初の逮捕者 必要的共犯の解釈がポイント カジノIRジャパン見解   | カジノ IR ジャパン

スマートライブカジノは現在ではサービスを終了していますが、マルタ国家のゲーミングライセンスを持ち、イギリスで合法的に運営されていたオンラインカジノでした。

当時、日本国内初のオンラインカジノ遊戯者逮捕という事で世間と業界を大いに騒がせました。

弁護士や専門家の見解

この逮捕に関して、弁護士や専門家の方も意見を述べていました。

逮捕と起訴、有罪判決はそれぞれまったく意味が違う。一般的に考えると「逮捕された=違法」と考える。しかし、それは早合点も良いところである。オンラインカジノを個人宅でプレイして、それを有罪判決にするまでの道程は嶮しい。

従って、これから京都府警サイバー犯罪対策課などがオンラインカジノをプレイした者に対して、どのような裏付け捜査を行うのだろうか?

また検察はその捜査の証拠に基づき、正式起訴に踏み切れるのか?

正式起訴された場合、地方裁判所では法律に則り裁かなければならないが、法整備がなされていないのにどうするのだろうか?

と、私は思わざるを得ない。

一審判決まで辿りつけるのか?

もし判決が下された場合、控訴して高等裁判所がどのような判決を下すのか、果ては上告して最高裁判所がどのような判決を下すのか、今後も注視してきたい。

出典:【社会】私は中立的 京都府警オンラインカジノ個人利用者を逮捕の見解[TIEBET]: 拝金主義のまとめ

 

刑法に違反する犯罪行為のことを、法律上「実行行為」と呼びます。この実行行為が国内で行われなければ、国外犯の処罰規定のない賭博罪で処罰することはできません。

これまで、賭博罪は必要的共犯、つまり、共犯者も同時にでなければ処罰されない犯罪であるといわれ、オンラインカジノの運営業者のサーバーが国外にある以上、運営業者が処罰されず、したがって利用者も処罰されないという主張がされることがありました。

しかしながら、単純賭博罪、常習賭博罪が必要的共犯であることを否定した裁判事例もあり、また、サーバーを海外においていたとしても日本国内でのサービスを前提としたオンラインカジノは、運営業者側の実行行為も日本国内にあると判断される可能性が高まりました。

出典:オンラインカジノの利用者が逮捕!違法オンラインカジノを処罰する賭博罪とは? | リーガルチェッカー

まず、非常に多くの方々が受けやすい勘違いとして「逮捕=罪」ではないという事。

逮捕というのは未だ疑いをかけられた段階であり、その後の裁判によって有罪、無罪、つまり罪であるか罪でないかが決定します。

弁護士や専門家の方々の見解はこの認識の元、日本人のオンラインカジノ遊戯が違法であるか合法であるかは判例次第であるという見解が非常に多く見受けられました。

オンラインカジノからの声明

今回の日本在住日本人のオンラインカジノユーザー逮捕についてオンラインカジノ『ジパングカジノ』からもこの様な声明が送られました。

ジパングカジノ

『・・・今後、弊社ブランドでの遊戯にて登録者が逮捕され、それが弊社ブランドと共に公表されることがあれば、貿易上の不公平を訴え、弊社保有ライセンス国を通じWTO(国際貿易機関)に問題提起することを考慮し、また名誉毀損にて当該国裁判所に向けて提訴する事も吝かではありません・・・』

何故スマートライブカジノで逮捕者が出たのか

スマートライブカジノ日本版ブラックジャック

この事件以前から多くの日本人プレイヤーは様々なオンラインカジノで遊戯していました。

しかし何故突然、スマートライブカジノで日本人逮捕者が出てしまったのでしょうか。

 

スマートライブカジノはかなり日本市場に力を入れており、日本人ディーラーを採用し、日本人プレイヤーのアクセスが集中する時間帯(日本時間の夕方~深夜)に日本人ディーラーとチャットで会話をしながらライブゲームを遊ぶ事が出来ました。

これが大きな要因となり、スマートライブカジノは実質日本在住の日本人向けのオンラインカジノであると判断された為、利用者の3名が逮捕される結果となってしまいました。

 

また、今回逮捕された3名は自身のブログ等で自身のオンラインカジノ遊戯の発信をしており、それらやクレジットカードの入金履歴等が証拠となったとされています。

 

いくら世界中に向けて運営されているオンラインカジノであっても、過度に日本在住者をターゲットにしたオンラインカジノの場合は今回の様に「日本在住の日本人向けのオンラインカジノ」と断定されてしまう可能性があるようです。

逮捕者3名の内2名は略式起訴

逮捕容疑は単純賭博容疑、3人の内2名は容疑を認め検察に提案された略式起訴を受け入れる形に。

単純賭博罪とは

読み方:たんじゅんとばくざい

別名:単純とばく罪

常習的ではない賭博行為者に対して処せられる罪名。

単純賭博罪は、刑法第185条により「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と規定されている。

賭博罪には、単純賭博罪と常習賭博罪の2種類があり、単純賭博罪の方が刑は軽い。例えば、初めて賭博を行った者や年に数回程度の賭博を行っている者に対しては単純賭博罪が適用されることが多い。一方、日常的に賭博を行っている者は、賭博常習罪が適用される。

単純賭博罪の但し書きの「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」は、例えば、麻雀でジュースを賭けたり、サッカーの試合でお菓子を賭けたりする場合で、これらは単純賭博罪には該当しない。

出典:weblio辞書|単純賭博罪とは

 

略式起訴とは

検察官が被疑者を起訴する方式として、一般の「公判請求」以外に「略式起訴」があります。前者は、検察官が正式な公判手続を求めて起訴するものである一方で、後者は「100万円以下の罰金又は科料を科す」ことが相当と考えられる事件につき、簡易裁判所に対して、簡略化された手続(いわゆる略式手続)による裁判を求めて起訴する方式です。

「公判請求」がなされた場合には、裁判官の予断を排除するために、起訴時には証拠書類は提出されず、最終的には公開の法廷で審理され「判決」という形式で判断が下されます。しかし、「略式起訴」がなされた場合には、起訴と同時に証拠資料が提出されて、非公開のまま審理され、「略式命令」という形式で判断がなされます。

メリットもあるが、合憲性の論点も

略式手続は、争いのない軽微な事件を迅速に処理することにより、訴訟経済に資するとともに、煩わしい刑事手続から被告人を早期に解放するといったメリットもあることから設けられた制度です。他方で、憲法37条1項は、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と定めていますので、略式手続そのものが、この憲法に違反するのではないかといった疑問があります。

しかしながら、略式起訴をする場合、「検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確かめなければならない」(刑事訴訟法461条の2第1項)と定められていますし、実際に略式命令が出された場合でも、「略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる」(同法465条1項)と定められていますので、最高裁判所は、制度としての必要性・合理性に照らして、合憲と判断しています。

検察官が都合よく略式手続を利用するケースがある

ただし、検察官が自らに都合よく略式手続を利用することには注意が必要です。すなわち、正式裁判となった場合には、証拠上、有罪の判決を得られない可能性がある事件について、検察官としては「無罪」となるリスクを避けたいといった心理が働きます。無罪判決は、検察官にとっては「負け」を意味するからです。

そこで、被疑者の「罰金程度で処理してもらえるのなら、早期に解放されたい」という心理に乗じて、略式起訴とすることに同意してもらい、「略式命令」という形式ではあっても「有罪」を勝ち取ることができるというわけです。

出典:略式起訴とは?通常の起訴との違い|exciteニュース

つまり今回逮捕された3名の内2名は裁判で争わずに容疑を認め、短い時間、少ない罰金で済む略式起訴という提案を受け入れたという形になります。

確かに被疑者からすれば短い拘束時間、安い罰金で済むし、検察官からすれば確実に「有罪」を勝ち取れる略式起訴というシステムはとても合理的だと思います。

双方、裁判となれば結果はどちらに転ぶか分かりません。

裁判の結果「有罪」となれば被疑者は多くの時間とお金を失い。「無罪」と出れば検察官は事実上の「敗北」となってしまいます。

しかし、略式起訴と言えど被疑者は罪を認める事になりますので、一般的な犯罪者同様に「前科」が付きます。

その場では楽に済むかも知れませんが、これからの人生に少なからず悪い影響が出る可能性は否定できません。

何故、検察官は略式起訴を提案するの?

先ほどの引用文にも御座いました。

検察官が都合よく略式手続を利用するケースがある

ただし、検察官が自らに都合よく略式手続を利用することには注意が必要です。すなわち、正式裁判となった場合には、証拠上、有罪の判決を得られない可能性がある事件について、検察官としては「無罪」となるリスクを避けたいといった心理が働きます。無罪判決は、検察官にとっては「負け」を意味するからです。

そこで、被疑者の「罰金程度で処理してもらえるのなら、早期に解放されたい」という心理に乗じて、略式起訴とすることに同意してもらい、「略式命令」という形式ではあっても「有罪」を勝ち取ることができるというわけです。

出典:略式起訴とは?通常の起訴との違い|exciteニュース

「正式裁判となった場合に有罪判決が得られるかどうか分からない事件について、検察官としては「無罪」となるリスクを避けたいといった心理が働く為」です。

そして、この略式起訴の提案を受け入れる被疑者は非常に多いです。

「裁判となれば時間もお金もかかる。20万円くらい払えば解放されるならさっさと解放されたい」

これが一般的な被疑者の心理です。

私が逮捕されたとしても「数十万円払って解放されるなら払おうかな」って気持ちになります。多分。

こういった被疑者の心理を利用した検察官の確実に有罪を勝ち取る為の戦略でもある訳ですね。

残りの1人は裁判で争う事に

3名の逮捕者の内、2名は略式起訴を受け入れる形となりましたが、残りの1人はこの略式起訴を不服とし、裁判で争う事を選択しました。

同様に逮捕された2名が略式起訴を受け入れる中、たった1人正式裁判で争う事に。

とても勇気ある行動だと思います。

 

日本国内オンラインカジノ遊戯初めての裁判、判決に注目が集まります。

結果は無罪

裁判の結果は無罪、不起訴でした。

当時、被疑者の弁護を担当した弁護士の方のブログがあります。

賭博罪を専門とする弁護士として,新年早々非常に嬉しい結果を出すことができた。

私は昨年から,いわゆるオンライカジノをプレイしたとして賭博罪の容疑を受けた人の弁護を担当していたのであるが,これにつき,不起訴を勝ち取ったのである。

賭博罪の不当性を強く感じている私としても,本件は是が非でも勝ちたい事件であった。

本件のポイントは,いわゆる必要的共犯の論点で語られることが多かったが,私はそれは違うと考えていた。

これのポイントは,被疑者が営利目的のない単なるユーザーであり,罪名も単純賭博罪であるという点である。

今の日本は,競馬やパチンコなど,容易に合法的な賭博行為ができる環境が整っている。

つい先日には,カジノ法案も可決された。

そのような状況で,この微罪を適用して刑に処することが刑事政策的に妥当であるとは到底思えない。

単純賭博罪は撤廃すべきというのが私の主張であるし,少なくとも,この罪は今すぐにでも有名無実化させてしかるべきである。

本件の特徴は,当該賭博行為につき,海外で合法的なライセンスを得ている一方当事者である胴元を処罰することはできないところ,他方当事者であるユーザーを処罰しようとする点にある。

本件は,主たる地位にある一方当事者を処罰することができないにもかかわらず,これに従属する地位にある当事者を処罰することができるのか,という点が真の論点となる。

結果が出たのは,間違いのない事実である。

本日時点において,オンラインカジノプレイヤーが対象となった賭博罪被疑事件で争った案件は国内でただひとつであり,そのひとつは,不起訴となった。

言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。

営利の目的なく個人の楽しみとしてする行為を対象とする単純賭博罪の不当性をうったえ続けている弁護士として,この結果を嬉しく思う。そしてちょっぴり誇りに思う。

出典:不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件|賭博罪改正を願う弁護士津田岳宏のブログ

1人の勇気ある男性と有能な弁護士によって

日本在住の日本人がオンラインカジノで遊戯するのは違法ではない

という事が証明された瞬間です。

 

この事件以降、日本在住の日本人オンラインカジノユーザーが逮捕されるという事件は起きていません。

彼らのお陰で現代の我々日本在住の日本人オンラインカジノユーザーは何の憂いも無く、オンラインカジノで遊ぶ事が出来ているという訳です。

オンラインカジノは違法なのか?まとめ

裁判の結果を見るとオンラインカジノは違法ではないという事になります。

この2016年の逮捕事件以降、日本在住日本人のオンラインカジノユーザーは逮捕されていません。

勿論、日本国内でオンラインカジノを運営する。となればそれは違法になるので注意してください。

あくまでも現状は日本国内で海外で運営されるオンラインカジノを遊んでも違法にはならないという話です。

勿論、良くニュースに出てくる「インカジ」これは日本人が提供する賭博であり、あからさまな違法です。運営者も利用者も逮捕されます。

大阪や都内にもそれなりに存在するらしいので絶対に手を出さないように注意してくださいね。

今後どのように法整備が進むか分かりませんがオンラインカジノを遊ぶ際は自己責任のうえ不用意に他人に見せびらかさない方が賢明でしょう。

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